仮設工の工種別 施工手順ガイド(初心者向け・図解)|土留め・仮締切・水替え・工事用道路・足場・残土受入れ施設 | 残土バンク
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初めて現場に出る人へ 施工手順ガイド 9

仮設工の工種別 施工手順ガイド

仮設(かせつ)は、本体を造るために先に造り、最後に撤去する工事です。図面には小さくしか描かれませんが、土留めが崩れれば人が死に、仮締切が流されれば工事が止まり、工事用道路がぬかるめば土が運べません。本体の品質と安全は、仮設の計画で決まります。

1.土留め・仮締切工(どどめ・かりしめきり)

深く掘るときに掘削の壁が崩れないよう支える仮設(土留め)と、水の中に乾いた作業場所を作る仮設(仮締切)です。鋼矢板やH鋼杭を打ち込み、掘りながら腹起し・切梁で支えます。本体より先に造り、本体ができたら引き抜きます。

手順

  1. 1打ち込む前に溝掘りなどで埋設物を確かめる
  2. 2導材を設置して、鋼矢板・H鋼杭を鉛直に打ち込む(バイブロハンマ・油圧圧入)。継手はかみ合わせる
  3. 3掘削と並行して、段ごとに腹起し・切梁を入れる。横矢板は掘削と並行してはめ込み、隙間を作らない
  4. 4締付けは各部材が一様に働くように。本体完成後、埋め戻してから引き抜く
  5. 5引抜き跡の空洞は砂などで充填して沈下を防ぐ

使う機械

バイブロハンマ(クレーン吊り)、油圧式杭圧入引抜機(静かで狭い場所向き)、クレーン、バックホウ。

現場で見るポイント

  • 切梁を入れる前に掘り進めない。「一段掘ったら一段支える」
  • 仮締切は河積(川の断面)を狭めて洪水を妨げない。局所洗掘にも注意。堤防を開削する仮締切は「仮締切堤設置基準(案)」による
  • 出水期の河川内の仮橋・仮締切は、定めがなければ撤去する

ここで土が動く

土留めの中の掘削土が出ます。鋼矢板の引抜き跡の充填に砂が要り、締切に使った土砂は撤去後に処分します。

2.水替工・地下水位低下工

掘削の中に入ってくる水をポンプで排水する水替えと、ウェルポイント・ディープウェルで周りの地下水位そのものを下げる工法です。水があると地盤は弱く、締固めもできません。

手順

  1. 1施工前に地下水位・透水係数・湧水量を調べ、クイックサンド・ボイリング(底から砂が吹き上がる)が起きないか土質で検討する
  2. 2釜場(水を集める穴)を掘削の隅に設け、ポンプで排水する
  3. 3地下水位低下は、ウェルポイント(真空で吸う)やディープウェル(深井戸で汲む)を掘削の周りに配置して運転する
  4. 4濁水は処理してから放流。河川・下水道への排水は届出や許可が要る(設計図書に明示がない場合)

使う機械

水中ポンプ、発電機、ウェルポイントポンプ・ヘッダーパイプ、ディープウェルの削孔機、沈殿槽・濁水処理設備。

現場で見るポイント

  • 周りの井戸が枯れる・地盤が沈むことがある。周辺の井戸の被害防止に努める(仕様書の規定)
  • 停電でポンプが止まると一気に水没する。予備電源と監視を
  • ボイリングは土留めの崩壊につながる。根入れと水位差を設計で確かめる

ここで土が動く

土は動きませんが、排水で含水比が下がると掘削土が盛土に使えるようになります。濁水の沈殿物は汚泥として処理します。

3.工事用道路工・残土受入れ施設工・作業ヤード

ダンプや重機が通る仮の道路、工事中に土を一時的に置く残土受入れ施設、資材を置く作業ヤードを造る工事です。本体ではありませんが、土を出す・運ぶ工事では、ここの計画が工程と費用を左右します。

手順

  1. 1工事用道路:不等沈下しないよう締め固め、盛土部の法面も崩れないよう締める。軟弱なら安定シートを盛土と一体化させる。敷鉄板で保護
  2. 2残土受入れ施設:搬入した土砂が周囲へ流出しないよう、土のう・シート・排水で囲う
  3. 3作業ヤード:工事の進行に支障のない位置・規模で造成し、砕石を平坦に敷き均す
  4. 4工事完了後は完全に撤去し、原形に復旧する(仮設工の一般事項)

使う機械

ブルドーザ、バックホウ、タイヤローラ、ダンプ、クレーン(敷鉄板)。

現場で見るポイント

  • 堤防などの既設構造物の上や近くに工事用道路を造るときは、悪影響を与えない
  • 泥の持ち出しは苦情になる。タイヤ洗浄・散水・路面清掃は監督職員と協議(防塵対策工)
  • 仮置きした土は雨で含水が上がる。シートと排水で守る

ここで土が動く

残土受入れ施設=現場内の仮置き場です。ここで土を分別・乾燥してから、埋戻しに戻すか、受入地へ運びます。仮置きの量は「ほぐし土量」で数えます。

4.仮橋・仮桟橋工・路面覆工

川や掘削の上を渡るための仮の橋と、道路を掘ったあとに車を通すための覆工板です。本体の施工前に設置し、施工後に撤去します。

手順

  1. 1仮橋・仮桟橋:杭を打ち、桁と床を組む。ウォータージェットで杭を入れた場合は、最後の打止めを落錘などで貫入させて落ち着かせる
  2. 2河川内の仮橋は、設計図書に定めがなければ出水期間中は撤去する
  3. 3路面覆工:受桁は荷重が均等にかかり転倒しない構造に。覆工板の段差・隙間・滑り・跳ね上がりに注意し、横断方向の端部にはずれ止め材を必ず付ける

使う機械

クレーン、杭打機(バイブロハンマ)、バックホウ。

現場で見るポイント

  • 覆工板のずれ止めを省くと、車が通ったときに板が跳ねる
  • 仮橋の洪水時の扱い(撤去か、流下断面の確保か)を先に決める

ここで土が動く

土はほとんど動きません。杭の打込み・引抜きで若干の土が動く程度です。

5.足場工・防護施設・汚濁防止・仮囲い

高所で作業するための足場と、第三者と環境を守るための仮設です。足場は「手すり先行工法等に関するガイドライン」(厚生労働省)によります。

手順

  1. 1足場:手すり先行工法で組み、すべての作業床に二段手すりと幅木の機能を持つものを常時設置する
  2. 2防護施設:仮囲い・立入防止柵を、交通の支障や苦情が予想される場合は工事前に設置。発破の飛散物にも留意
  3. 3汚濁防止:汚濁防止フェンスの設置・撤去の時期と順序を着手前に検討。濁水は法令に従って処理してから放流
  4. 4電力設備:電気主任技術者を選任して監督職員に提示し、保守規定を作る。騒音が出る設備は防音対策

使う機械

足場材(枠組・くさび緊結式)、クレーン、汚濁防止フェンス、発電機。

現場で見るポイント

  • 足場の手すりは「組んでから付ける」のではなく「先に付けて組む」
  • 仮囲いは工事の顔。苦情の多くはここから始まる

ここで土が動く

土は動きません。

よくある質問

仮設工は誰が決める?

国交省の共通仕様書では、設計図書の定めや監督職員の指示がある場合を除き、仮設工は受注者の責任で施工することになっています。本体の品質と安全を守るために何が必要かを、受注者が計画します。仮設物は工事完了後に完全に撤去し、原形に復旧します。

土留めはいつ必要?

掘削の深さと土質、周辺の構造物で決まります。浅くて自立する地盤なら法面を付けて掘りますが、深い・軟らかい・隣に建物がある場合は鋼矢板やH鋼杭で土留めをします。「一段掘ったら一段支える」が原則です。

水替えの排水はそのまま川に流せる?

いいえ。濁水は除去などの処理をしてから放流し、河川や下水道へ排水する場合は、設計図書に明示がなければ河川法・下水道法に基づく届出や許可が必要です。

残土受入れ施設とは?

工事中に発生した土砂を現場内または近くで一時的に置く施設です。仕様書では、搬入土砂の周囲への流出を防止することが定められています。ここで分別・乾燥してから、埋戻しに戻すか受入地へ運びます。

土の行き先は、残土バンクで

仮置きした土の行き先も、投稿すると近くの受入先に自動で届きます。 国交省の登録簿をもとにした全国の受入地も地図で探せます。投稿・問い合わせ・成立に手数料はかかりません。

参考資料

2026年10月14日時点の公開資料をもとに、残土バンク編集部が構成・図とも独自に作成しました。本文の数値は国土交通省 土木工事共通仕様書(案)に書かれている範囲だけを引用しています。配合・寸法・強度などは設計図書と発注者の仕様書が優先です。