初めて現場に出る人へ
土工の工種別 施工手順ガイド
土工(どこう)は、土を掘る・運ぶ・盛る・戻す工事の総称です。工種ごとに「何をする工事か」「手順」「使う機械」「現場で見るポイント」を図で説明し、最後にその工事で土がどう動くか(出るのか、要るのか)を添えました。残土の出し先・探し方につながる部分です。
1.掘削(くっさく)
もとの地面(現地盤)から、設計で決めた高さ(施工基面)まで土を掘り下げる工事です。あとで埋め戻さない掘り方を指し、埋め戻す前提の掘り方は「床掘」と呼んで区別します。道路の切土や造成がこれにあたります。
手順
- 1丁張り・測量で「どこまで掘るか」を現地に出す
- 2地形に合わせて掘り方を決める(広く平らに掘れる場所はオープンカット、斜面を片側だけ切る場合は片切り)
- 3上から順に掘り下げ、掘った土はその場で積み込むか、押土して集める
- 4施工基面の高さ・法面の勾配を確かめる
使う機械
土砂はバックホウ(掘削と積込みを同時に)やブルドーザ(押土)。岩はリッパ付きブルドーザやブレーカ、規模が大きければ発破。機械の大きさは土質と掘削量で決めます。
現場で見るポイント
- 掘削中は地山の様子を見続ける。亀裂・湧水・崩れの兆しがあれば止める
- 掘りすぎは戻せない。施工基面の手前で一度測る
- 埋設物(ガス・水道・電気)の位置を掘る前に確かめる
ここで土が動く
ここで残土が出ます。図面の数量は「地山」、積み込んで運ぶ量は「ほぐし」で、体積が1.2倍前後に増えます。搬出先は掘る前に決めておきます(500㎥以上は計画書と事前確認が必要)。
2.積込み・運搬
掘った土をダンプトラックに積み、受入地・仮置き場・盛土箇所まで運ぶ工事です。運搬距離が長いほど費用に効き、台数と往復回数の計画がそのまま工程になります。
手順
- 1ほぐし土量から必要な台数(延べ台数)を出す
- 2積込み機械とダンプの組み合わせを決める(積込みが遅いとダンプが待つ、速いと積込み機が待つ)
- 3運搬路・出入口・場内の一方通行を決め、誘導員を置く
- 4搬出先での受入時間と、1日に運べる量を合わせる
使う機械
バックホウで積み込み、ダンプトラック(4t・10t)で運搬。場内の短い距離はブルドーザの押土で済ませることもあります。
現場で見るポイント
- ダンプは重量制限が先に効く。湿った土や礫は見た目より重い
- 荷台からのこぼれ・泥の持ち出しは苦情になる。出口でタイヤを洗う
- 受入地の「受入可能量」が地山かほぐしか締固め後かを確かめて伝える
3.整地
運んできた土や、掘削で出た土を、受入地や盛土の下地で薄く均一に広げる工事です。「とりあえず置く」と「整地する」は別で、整地は次の工程(締固め・植生・構造物)の前提になります。
手順
- 1ダンプの荷下ろし位置を決め、山にしない
- 2ブルドーザで一定の厚さに敷き均す
- 3水が溜まらないよう、わずかな勾配をつける
使う機械
ブルドーザが中心。狭い場所はバックホウで均します。
現場で見るポイント
- 厚く広げると後の締固めが効かない
- 雨の前に表面を転圧しておくと泥濘化を防げる
4.盛土(路体・路床)
もとの地面より上に土を盛り立てる工事です。道路では下の大部分を「路体」、舗装のすぐ下の層を「路床」と呼び、路床ほど強さの管理が厳しくなります。盛土は「土を置く」のではなく「層ごとに締め固めて造る」工事です。
手順
- 1盛土する地盤の草木・表土を取り除き、必要なら排水や段切りをする
- 2土を1層ずつ薄く敷き均す(1層の厚さは発注者の仕様書の値による)
- 3層ごとに締め固める(転圧回数・機械は試験施工で決めることが多い)
- 4出来形(高さ・幅・法面)と締固め度を確かめ、次の層へ
使う機械
敷均しはブルドーザ、締固めはタイヤローラ・振動ローラ。狭い場所や構造物のきわは小型の転圧機。
現場で見るポイント
- 含水比が高い土は締まらない。乾かすか、改良するか、使わない
- 法面のきわは締固めが甘くなりやすい。余盛りして削る
- 雨の日の作業は盛土の品質を落とす。表面を仕上げて排水してから中断する
ここで土が動く
ここで土が「要る」工事です。出来形は締固め後の土量なので、必要な地山土量は出来形 ÷ C で増えます。土質の条件(区分・コーン指数)が合う土を探します。
5.床掘(とこぼり)・埋戻し
構造物(管・基礎・擁壁など)を造るために、必要な分だけ掘って、造り終えたら戻す工事です。「掘削」と違って埋め戻しが前提で、掘った土の一部は戻し、構造物の体積ぶんは余ります。
手順
- 1構造物の寸法に作業幅を足して床掘の幅・深さを決める
- 2掘った土は埋戻しに使う分と残土に分けて仮置きする
- 3深さが大きければ土留めを入れ、湧水があれば水替えをする
- 4構造物を造り、養生が終わってから埋め戻す
- 5埋戻しは層ごとに締め固める。管のまわりは管を傷めない材料・方法で
使う機械
床掘はバックホウ(深い・狭い場合はクラムシェル)。埋戻しの締固めはタンパ・ランマ・小型ローラ。
現場で見るポイント
- 埋戻し土に石や塊が混ざると沈下の原因になる
- 管の横・上の締固めを飛ばすと、舗装後に段差が出る
- 土留め・水替えは安全の要。深さ・地下水で判断する
ここで土が動く
構造物の体積ぶんの土が余って残土になります。逆に、掘った土が埋戻しに使えない(軟弱・含水が高い)ときは、良質土を入れる必要があり、土が「要る」工事に変わります。
6.仮置き(ストックヤード)
掘った土をすぐ使えないとき、次の工事まで一時的に保管することです。工事と工事の時期をつなぐ役割があり、国土交通省に登録した事業者のストックヤードも使えます。
手順
- 1保管する量(ほぐし土量)と期間から、置き場の広さを決める
- 2雨水が入らないようシートで養生し、まわりに排水を確保する
- 3土質ごとに分けて置く(混ぜると使えなくなる)
- 4搬出するときは、受入先の条件に合う土かをもう一度確かめる
使う機械
ブルドーザで積み上げ・切り崩し、バックホウで積み込み。
現場で見るポイント
- 仮置きも盛土規制法の「一時的な堆積」として規制の対象になることがある
- 長く置くと含水比が上がって区分が落ちる。シートと排水で守る
ここで土が動く
時期の合わない「出す工事」と「使う工事」をつなぐのが仮置きです。残土バンクの受入地の地図は、国交省の登録簿をもとに全国約1,600か所を載せています。
よくある質問
「掘削」と「床掘」は何が違う?
掘削は、設計の高さまで掘り下げて埋め戻さない工事(切土など)。床掘は、構造物を造るために掘って、造り終えたら埋め戻す工事です。積算上も別の工種として扱われます。
路体と路床の違いは?
道路の盛土のうち、舗装のすぐ下の層が路床、その下の大部分が路体です。路床は舗装を支える層なので、材料と締固めの管理が厳しくなります。
1層の厚さや締固めの回数はいくつ?
発注者の仕様書(国土交通省 土木工事共通仕様書や各自治体の仕様書)と、現場の試験施工で決めます。土質や機械で変わるため、このページでは数値を示していません。
掘った土はどこに持っていけばいい?
2023年5月以降の契約では、500㎥以上の土砂を搬出する工事で、搬出先を着工前に計画書へ書き、適正な場所かを確認し、受領書を保存することが求められます。残土バンクでは国交省の登録簿をもとにした全国の受入地を地図で探せ、投稿すると近くの受入先に自動で届きます。
土の行き先は、残土バンクで
掘削で出る土も、盛土で要る土も、投稿すると近くの相手に自動で届きます。国交省の登録簿をもとにした全国の受入地も地図で探せます。投稿・問い合わせ・成立に手数料はかかりません。
参考資料
2026年10月13日時点の公開資料をもとに、残土バンク編集部が構成・図とも独自に作成しました。1層の厚さ・締固め度・機械の規格などの数値は、発注者の仕様書・積算基準の最新版で確認してください。
