初めて現場に出る人へ 施工手順ガイド 5
基礎工(杭)の工種別 施工手順ガイド
基礎は、構造物の重さを地盤に伝える部分です。浅い基礎(砕石・割ぐり石)で足りなければ、硬い地盤(支持層)まで杭を届かせます。工場で作った杭を打ち込む既製杭、その場で造る場所打杭、人が入って掘る深礎とケーソン。見えなくなる部分だからこそ、記録と確認が仕事の中心になります。
1.基礎材(砕石・割ぐり石・均しコンクリート)
構造物の底に敷く、荷重を地盤に伝えるための層です。床掘りの底を締め固め、砕石や割ぐり石を敷いて締め固め、その上に均しコンクリートを打って平らな面を作ります。小さな構造物(側溝・擁壁・護岸)はこれだけで支えます。
手順
- 1床掘りの底を乱さず、不陸なく仕上げる。湧水はポンプや排水溝で排除
- 2砕石・割ぐり石を敷き、割ぐり石には切込砂利・砕石などの間隙充填材を加えて締め固める
- 3均しコンクリートを打ち、構造物の墨出しができる平らな面を作る
使う機械
バックホウ(床掘り・敷均し)、プレートコンパクタ・ランマ(締固め)。
現場で見るポイント
- 床掘りの底を踏み荒らさない。乱した地盤は支持力が落ちる
- 湧水がある場合は、水を抜いてから基礎材を入れる
2.既製杭工(きせいくい)
工場で作った杭(コンクリート杭・鋼管杭・H鋼杭)を、硬い地盤(支持層)まで届かせる工事です。ハンマで打ち込む打込み杭のほか、杭の中を掘りながら沈める中掘り杭、先に穴をあけて建て込むプレボーリング杭、回転させて入れる回転杭があります。
手順
- 1設計図書に示されなければ、基礎ごとに試験杭を打って、打止めの管理方法(ペン書き法、リバウンド測定など)を決める
- 2杭を建て込み、鉛直を確かめながら打ち込む/沈める
- 3支持層に着いたことを確認し、記録を残す。打込み不能・支持力不足は原因を調べて協議
- 4中掘り・プレボーリングでは、根固めのセメントミルク(水セメント比は示されなければ60〜70%)を注入する
- 5鋼管杭・H鋼杭を継ぐときは現場溶接(気温5℃以下では原則禁止、風速の上限あり)
使う機械
杭打機(油圧ハンマ)、三点式杭打機(中掘り・プレボーリング)、クレーン、オーガ、セメントミルクプラント。
現場で見るポイント
- 支持層の確認がすべて。柱状図と実際の打込み抵抗を照らし合わせる
- 溶接は資格と気象条件(気温・風・雨雪)を守る。目違いの許容値も決まっている
- 騒音・振動で打込みができない現場は、中掘りや回転杭を選ぶ
3.場所打杭工(ばしょうちぐい)
地盤に杭の形の穴を掘り、鉄筋かごを入れてコンクリートを流し込み、その場で杭を造る工事です。穴の壁を保つ方法で、ケーシングで覆うオールケーシング工法、泥水で保つリバース工法・アースドリル工法に分かれます。大きな橋脚や建物の基礎に使います。
手順
- 1試験杭を施工し、施工記録を整える。掘削機は杭の位置に正確に据え、据付け地盤を整える
- 2周りの地盤・支持層を乱さず、鉛直を保って掘削する。掘削速度は地質に合わせる
- 3支持地盤を掘削深さ・掘削土・柱状図・サンプルで確認し、孔底のスライム(沈殿物)を除去する
- 4鉄筋かごを建て込む(スペーサは同じ深さに4か所以上、深さ方向3m間隔程度。孔壁に触れさせない)
- 5トレミー管でコンクリートを打つ(管の下端は常に2m以上コンクリートの中。打込み量と高さを常時計測)
- 6杭頭は設計高さより高く打ち(孔内水なしで50cm以上、ありで80cm以上)、硬化後に余分を壊す
使う機械
オールケーシング掘削機、リバース掘削機、アースドリル機、クレーン、泥水プラント・沈殿槽、トレミー管、ポンプ車。
現場で見るポイント
- 泥水を使う工法では、孔内の水位を外の水位より下げない(孔壁が崩れる)
- 泥水は環境基準・条例に従って処理し、地下水への影響も事前に協議する
- 床掘り後に全杭の杭径を確かめ、写真を監督職員へ出す
ここで土が動く
掘削土と泥水(スライム)が出ます。泥水は建設発生土ではなく建設汚泥として処理します。掘削土も泥水混じりなら汚泥扱いになることがあるので、分けて管理します。
4.深礎工(しんそ)・ケーソン基礎工
人が中に入れる大きさで地盤を掘り下げて造る基礎です。深礎は、ライナープレートで土留めしながら円形の竪坑を掘り、中にコンクリートを打つ工法で、山の斜面の橋脚によく使います。ケーソンは、コンクリートの箱を地上で造り、中を掘って自重で沈める工法で、オープンケーソンと、圧気で水を押し出すニューマチックケーソンがあります。
手順
- 1深礎:仮巻コンクリートを打ちながらライナープレートで土留めし、鉛直を保って支持地盤まで連続して掘る。余掘りは最小限、孔内排水は常時
- 2深礎:土留めは全長にわたり残し、土留め材と地山の隙間は低圧(0.1N/mm²程度)で裏込め注入する
- 3ケーソン:刃口を不等沈下しないよう据え、1ロットのコンクリートを連続して打って水密な箱を造る
- 4ケーソン:中を中央から対称に掘り、傾き・回転を直しながら沈める。過掘りは禁止
- 5ケーソン:支持地盤を確認して底ざらいし、底版コンクリートを打つ。ニューマチックでは平板載荷試験で支持力を確かめる
使う機械
深礎は小型のクラムシェル・バックホウとクレーン、ライナープレート。ケーソンはクレーン、掘削機(遠隔操作)、圧気設備(ニューマチック)。
現場で見るポイント
- 深礎は人が坑内で作業する。酸欠・湧水・崩壊の対策が最優先
- ケーソンは「均等に沈める」が難しい。沈下の記録図を更新し、急な沈下を避ける
- ニューマチックケーソンの中埋めコンクリートは、打込み後24時間以上、気圧を一定に保って養生
5.鋼管矢板基礎工
継手のついた鋼管矢板を円形・小判形に閉じた形で打ち込み、井筒として基礎にする工法です。川の中や軟弱地盤の橋脚で、仮締切と本体基礎を兼ねられるのが特徴です。
手順
- 1試験杭で施工性を確かめ、施工計画書と記録を整える
- 2導材(導枠・導杭)を設置し、二方向から鉛直を確かめながら建て込む。ずれ・傾きが出たら引き抜いてやり直す
- 3継手管内をウォータージェットで排土し、直ちに中詰材を充填する
- 4内部を掘削・水替えして、頂版・底版を造る
使う機械
バイブロハンマ・油圧ハンマ、クレーン、ウォータージェット、台船(水上)。
現場で見るポイント
- 溶接の資格・気象条件・目違いの許容値は既製杭と同じ規定
- 継手の処理を怠ると水が入り、井筒にならない
ここで土が動く
内部の掘削土と、継手管の排土が出ます。水中の土砂は含水が高く、受入先を選びます。
よくある質問
既製杭と場所打杭はどう使い分ける?
既製杭は工場製品で品質が安定し、打込みや中掘りで速く施工できますが、大きな径には限りがあります。場所打杭は現場で大きな径・長さの杭を造れ、騒音・振動が小さい一方で、泥水処理と品質管理が要ります。地盤・荷重・周辺環境で選びます。
試験杭とは?
本杭の前に施工して、支持層への到達、打止めの基準、施工時間などを確かめる杭です。国交省の共通仕様書では、設計図書に示されなければ各基礎ごとに試験杭を施工することになっています。
場所打杭の泥水はどう処理する?
水質汚濁に係る環境基準や都道府県の条例に従って処理します。泥水や泥水混じりの掘削土は建設発生土ではなく建設汚泥として扱われるため、産業廃棄物処理の手配が必要です。
杭頭処理とは?
場所打杭では、品質の悪い上部のコンクリートを取り除くために、設計高さより高く打っておき(孔内水なしで50cm以上、ありで80cm以上)、硬化後に余分を壊して設計高さにそろえる作業です。
土の行き先は、残土バンクで
基礎の掘削で出る土も、投稿すると近くの受入先に自動で届きます。 国交省の登録簿をもとにした全国の受入地も地図で探せます。投稿・問い合わせ・成立に手数料はかかりません。
参考資料
2026年10月14日時点の公開資料をもとに、残土バンク編集部が構成・図とも独自に作成しました。本文の数値は国土交通省 土木工事共通仕様書(案)に書かれている範囲だけを引用しています。配合・寸法・強度などは設計図書と発注者の仕様書が優先です。
