擁壁工・ブロック積工の工種別 施工手順ガイド(初心者向け・図解)|場所打擁壁・プレキャスト擁壁・補強土壁・ブロック積 | 残土バンク
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初めて現場に出る人へ 施工手順ガイド 8

擁壁工・ブロック積工の工種別 施工手順ガイド

擁壁(ようへき)は、高さの違う地盤の間で土を押さえる壁です。現場で打つ場所打擁壁、工場製品を据えるプレキャスト擁壁、斜面にブロックや石を積むブロック積、土の中に補強材を敷く補強土壁。どれも「基礎・本体・水抜き・裏込め」の4つで決まり、壁の背面で土が動きます。

1.場所打擁壁工(ばしょうちようへき)

現場で型枠を組み、鉄筋コンクリートで造る擁壁です。重力式・もたれ式・逆T型(L型)などの形があり、背面の土の圧力(土圧)を壁の重さや底版で受けます。土木でいちばん多い構造物のひとつで、基礎・コンクリート・水抜き・裏込めの4つがそろって初めて機能します。

手順

  1. 1床掘りして底を乱さず仕上げ、湧水はポンプ・排水溝で排除。基礎材(砕石・割ぐり石)を締め固め、均しコンクリートを打つ
  2. 2鉄筋を組み(かぶり・スペーサ)、型枠を建て、コンクリートを打って養生する(コンクリート工の章)
  3. 3水抜き孔を設計図書の位置に入れる(勾配の定めがなければ2%程度)。孔の背面に吸出し防止材と透水材
  4. 4型枠を外し、裏込め材(砕石など)を入れて締め固め、埋戻しは一層の仕上り厚30cm以下で層ごとに締める
  5. 5伸縮目地・施工目地を設計図書どおりに。天端を仕上げる

使う機械

バックホウ(床掘り・裏込め)、クレーン(型枠・鉄筋)、ポンプ車、小型締固め機械(壁ぎわ)。

現場で見るポイント

  • 水抜きが効かない擁壁は、背面に水がたまって倒れる。孔と背面の透水材をセットで
  • 埋戻しを急ぐと壁が動く。コンクリートが所定の強度に達してから、偏土圧がかからないよう
  • 床掘りの過掘りは戻せない。既設物で掘り過ぎる必要があれば事前に協議(仕様書の規定)

ここで土が動く

床掘りで出た土のうち、埋戻しに使えるのは良質なものだけで、壁と基礎の体積ぶんは残土になります。裏込め材(砕石)は別に手配します。

2.プレキャスト擁壁工

工場で造ったコンクリートの擁壁(L型・逆T型など)を運んで据え付ける工事です。現場のコンクリート打ちと養生が要らないので速く、品質が安定します。小さな高さの道路・宅地の擁壁で多く使われます。

手順

  1. 1床掘りと基礎材・基礎コンクリート(均し)を場所打ちと同じように造る
  2. 2クレーンで据え付ける。基礎と密着させ、接合面が食い違わないようにする(仕様書の規定)
  3. 3目地は設計図書どおりに処理し、付着と水密性を保つ
  4. 4裏込め・埋戻しを層ごとに締め固める

使う機械

ラフテレーンクレーン、バックホウ、小型締固め機械。

現場で見るポイント

  • 基礎が平らでないと製品がガタつき、目地が開く。均しコンクリートの精度が命
  • 吊り上げは製品の指定の吊り金具で。衝撃を与えない

ここで土が動く

場所打ちと同じく、床掘りの土の一部が残土になります。

3.コンクリートブロック積(張)工・石積(張)工

間知(けんち)ブロックや石を斜面に積んで、法面を押さえる工事です。法勾配が1:1より急なら「積」、1:1かそれより緩ければ「張」と呼びます。胴込め・裏込めにコンクリートを使う練積(ねりづみ)と、使わない空積(からづみ)があります。

手順

  1. 1床掘りし、基礎材(砕石・割ぐり石・クラッシャラン)を敷いて締め固め、基礎コンクリートを打つ
  2. 2ブロックのごみ・泥を落とし、下から等高を保って積む。合端(あいば)を合わせ、尻かいで固定
  3. 3練積:胴込めコンクリートを充填して締め固め、合端付近に空隙を作らない。裏込めコンクリートは裏型枠で設計厚さを確保し、型枠を抜いた隙間を埋める
  4. 4空積:胴込め材・裏込め材を入れ、胴がい・尻かいで固定し、天端付近に空隙が出ないよう締める
  5. 5水抜き孔・伸縮目地を設計図書の位置に。端部保護ブロック・天端コンクリートで裏込め材の流出を防ぐ

使う機械

バックホウ(ブロックの小運搬・裏込め)、クレーン、ミキサ車(胴込めコンクリート)。積みは人力。

現場で見るポイント

  • 設計図書に示されなければ谷積(たにづみ)。縦目地が通ると弱い
  • 裏込めに割ぐり石を使うときは、クラッシャランなどで隙間を充填
  • 基礎が沈むと壁面が変形する。基礎の地盤を確かめる

ここで土が動く

床掘りの土と、裏込め材の手配が動きます。法面の整形で出た土も残土になります。

4.補強土壁工(ほきょうどへき)

土の中に帯状の鋼材(帯鋼補強土壁)や面状の高分子材(ジオテキスタイル・ジオグリッド)を層ごとに敷き、土と補強材の摩擦で盛土そのものを壁にする工法です。壁面材はパネルやブロックで、土を押さえるというより土を包みます。高い壁を薄い構造で造れます。

手順

  1. 1伐開除根と整地をして、必要なら排水処理をしてから第一層の補強材を敷く
  2. 2盛土材は設計図書どおり。巻出し前に材料を確認して監督職員の承諾を得る
  3. 3補強材を水平に、たるみや極端な凹凸なく敷き、ピンや土盛りで固定する。横断方向に継ぎ目を作らない
  4. 4層ごとに敷き均して締め固める(壁面工側から奥へ。重機の急停止・急旋回を避ける)。壁面付近・隅角部は振動コンパクタで人力締固め
  5. 5壁面工を盛土に先行して組み立てるのは2段まで。設置前に直線性と変形を確かめ、ターンバックルで調整

使う機械

ブルドーザ・バックホウ(敷均し)、振動ローラ、振動コンパクタ(壁ぎわ)、クレーン(壁面材)。

現場で見るポイント

  • 補強材の隙間が高さ方向に連続しないように。10cm程度以上の隙間が出たら補強材を追加して重ねる
  • 面状補強材は紫外線で劣化する。直射日光を避けて保管し、搬入から締固め完了まで強度低下を防ぐ
  • 壁面の変位が許容値を超えたら作業を止めて協議。緊急なら応急措置をして直ちに連絡

ここで土が動く

土が「要る」工事です。盛土材の品質(粒度・含水)が設計の前提なので、承諾を得た材料を使います。現場発生土が使えるかどうかは、土質試験で決まります。

5.井桁ブロック工(いげた)

コンクリートの部材を井桁に組んで、中に石を詰めて壁にする工法です。水を通し、変形に追従するので、湧水のある法面や、緑化したい法面に使います。

手順

  1. 1法尻から順序よく枠を組む。各部材に無理な力をかけない
  2. 2中詰め石を、部材に衝撃を与えないように入れる。土砂を混ぜない
  3. 3背後の地山と接する箇所に吸出し防止材を入れる

使う機械

クレーン(部材)、バックホウ(中詰め石)。

現場で見るポイント

  • 中詰めに土砂が混ざると、水がたまって押し出される
  • 法尻の基礎が全体を支える。最初の一段を丁寧に

ここで土が動く

石を使う工事で、土はほとんど動きません。背面の整形で出た土が残土になる程度です。

よくある質問

擁壁の「水抜き孔」はなぜ必要?

背面にたまった水の圧力(水圧)は、土圧と同じくらい擁壁を押します。水抜き孔で水を逃がすことで、設計どおりの土圧だけを受ける状態を保ちます。国交省の共通仕様書では、勾配の定めがなければ2%程度の勾配で設置することになっています。

ブロック積の「積」と「張」、「練積」と「空積」の違いは?

法勾配が1:1より急なら積、1:1かそれより緩ければ張です。胴込め・裏込めにコンクリートを使うのが練積、使わず砕石などを詰めるのが空積で、練積のほうが高い壁に使えます。

補強土壁は普通の擁壁と何が違う?

普通の擁壁は壁が土を押さえますが、補強土壁は土の中に補強材を敷いて、土自体を安定した塊にします。壁面材は土を包む役目で、薄くて高い壁を造れます。そのぶん、盛土材の品質と締固めの管理が構造物の品質そのものになります。

擁壁の埋戻しはいつ・どう行う?

コンクリートが所定の強度に達してから、裏込め材を入れ、一層の仕上り厚30cm以下で層ごとに締め固めます(作業土工の規定)。片側だけ先に埋めると偏土圧で壁が動くので、構造物をはさんで均等に進めます。

土の行き先は、残土バンクで

擁壁の床掘りで出る土も、補強土壁で要る盛土材も、投稿すると近くの相手に自動で届きます。 国交省の登録簿をもとにした全国の受入地も地図で探せます。投稿・問い合わせ・成立に手数料はかかりません。

参考資料

2026年10月14日時点の公開資料をもとに、残土バンク編集部が構成・図とも独自に作成しました。本文の数値は国土交通省 土木工事共通仕様書(案)に書かれている範囲だけを引用しています。配合・寸法・強度などは設計図書と発注者の仕様書が優先です。