砂防工の工種別 施工手順ガイド(初心者向け・図解)|砂防堰堤・仮締切・流路工・斜面対策 | 残土バンク
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初めて現場に出る人へ 施工手順ガイド 4

砂防工の工種別 施工手順ガイド

砂防(さぼう)は、山から流れ出す土砂や土石流を抑えて、下流の人家や道路を守る工事です。渓流に造る砂防堰堤、そのために欠かせない仮締切と水替え、渓流の岸と底を固める流路工、斜面そのものを守る斜面対策。山奥の、水のそばの、コンクリートの工事です。

1.砂防堰堤(さぼうえんてい)

渓流に造る、土砂をためて下流への流出を抑える堰(せき)です。コンクリートの本堰堤、その下流で落ちた水の勢いを殺す水叩きと副堰堤、両岸の側壁で構成されます。鋼製の格子で大きな石だけを止める透過型もあります。

手順

  1. 1仮締切と水替えで乾いた作業場所を作る
  2. 2基礎岩盤まで床掘りし、浮石を除き、著しい凹凸を整形する(岩盤を緩める大規模発破は禁止)。湧水があれば協議
  3. 3基礎面を圧力水で清掃して湿らせ、モルタル(岩盤で平均2cm程度)を敷いてからコンクリートを打つ
  4. 4リフト(1回の打込み高さ)0.75m以上2.0m以下で、1層40〜50cmに分けて締め固めながら打ち上げる
  5. 5打継目はレイタンスを取って粗面にし、旧コンクリートが所定の材齢になってから次を打つ(リフト1.0〜1.5m未満なら4日)
  6. 6水通し・袖・水叩き・副堰堤を造り、仮締切を撤去する

使う機械

バックホウ(床掘り)、クレーン・ケーブルクレーン(コンクリートのバケット運搬)、現場のコンクリート生産設備、振動機。山奥では資材の運搬路づくりから始まる。

現場で見るポイント

  • 基礎の良否がすべて。断層・破砕帯・不良岩が出たら報告して指示を受ける
  • バケットは打込み面の1m以下まで下ろして排出する。高く落とすと材料が分離する
  • 日平均気温が4℃以下・25℃以上では打込みの扱いが変わる(寒中・暑中コンクリート)

ここで土が動く

床掘りで出る土砂・岩は指定の受入地へ運び、流出や崩壊が起きないよう排水と法面処理をします(仕様書の規定)。承諾なしに余計に掘った分は受注者の負担です。

2.仮締切(かりしめきり)と水替え

川の中で工事をするために、流れを片側に寄せて乾いた作業場所を作る仮設工事です。土のう・土砂で締め切る方法と、鋼矢板やコンクリートで締め切る方法があり、中に入った水はポンプで排水します(水替え)。本体ではなく仮設ですが、これが崩れると工事が止まります。

手順

  1. 1渇水期に合わせて工程を組み、流す側の水路(仮排水路)を確保する
  2. 2土のう・土砂(または鋼矢板)で締め切る。土のうは流れに対して密に積む
  3. 3ポンプで作業場所の水を抜き、湧水に合わせて排水を続ける
  4. 4本体工事が終わったら撤去し、流れを元に戻す。締切に使った土砂は回収する

使う機械

バックホウ(土のう積み・土砂締切)、水中ポンプ、発電機、バイブロハンマ(鋼矢板の場合)。

現場で見るポイント

  • 天気予報と上流の雨量を見る。増水の前に機械と人を退避させる計画を先に作る
  • 締切の土砂が流れると下流を濁す。シートや土のうで守る
  • 撤去を忘れた土のうは、次の出水で流れて被害になる

ここで土が動く

締切に使った土砂・土のうの土は、撤去後に処分が要ります。流れに触れた土は含水が高く、そのままでは盛土に使えません。

3.流路工(護岸・床固め)

渓流の岸と底を固めて、流れで削られないようにする工事です。両岸の流路護岸(ブロック・石積)と、川底を横断する床固め(段差)、根固め・水制で構成されます。河川の護岸・床固めと同じ考え方を、勾配の急な渓流に当てはめたものです。

手順

  1. 1仮締切・水替えで乾いた状態にし、床掘りする
  2. 2床固めの本体(コンクリート)と護床工を造る
  3. 3両岸の護岸を、基礎→裏込め→ブロック(石)の順に造る
  4. 4仮締切を撤去して流れを戻し、法面を仕上げる

使う機械

バックホウ、クレーン、小型締固め機械、水替えポンプ。

現場で見るポイント

  • 床固めの下流に護床がないと、えぐれて本体が壊れる
  • 石積(張)は根石を大きく、安定するように据える

ここで土が動く

床掘りの土と、護岸の裏込め材が動きます。渓流の土砂は石混じりで、分別すれば盛土材・裏込め材に使えることがあります。

4.斜面対策(地すべり・急傾斜地)

斜面が滑ったり崩れたりするのを防ぐ工事です。水を抜く(地下水排除工・山腹水路工)、押さえる(擁壁・抑止杭・アンカー)、表面を守る(法面工)を組み合わせます。斜面を切り取って軽くする「排土工」もあります。

手順

  1. 1調査で滑り面と地下水の状態をつかみ、対策の組み合わせを決める
  2. 2水を抜く:集水井・排水ボーリング・山腹水路で地下水と表面水を逃がす
  3. 3押さえる:抑止杭を打つ、アンカーで縫い止める、擁壁で受ける
  4. 4表面を守る:法面工(植生・法枠・吹付)で仕上げる

使う機械

ボーリングマシン(排水・アンカー)、クレーン、バックホウ。急斜面では索道やモノレールで資材を運ぶ。

現場で見るポイント

  • 雨の後に動く斜面がある。伸縮計・傾斜計の値を見て作業する
  • 排土工は、滑りの頭部を軽くする一方で、下部を削ると逆に危ない。設計の意図を理解する

ここで土が動く

排土工では大量の土が出ます。地すべり地の土は含水が高く、受入先を選びます。押え盛土では逆に土が要ります。

よくある質問

砂防堰堤は何のための構造物?

渓流の土砂を一時的にためて、下流への急な流出(土石流)を抑えるためのものです。ためた土砂で渓流の勾配が緩くなり、両岸の崩れも減ります。大きな石だけを止めて水と細かい土砂を通す鋼製の透過型もあります。

リフトとは?

コンクリートを1回に打ち込む高さのことです。国交省の共通仕様書では、砂防堰堤のリフト高は0.75m以上2.0m以下とし、1リフトを数層に分ける場合は締固め後の1層を40〜50cmとしています。

仮締切はなぜ重要?

川の中で乾いた作業場所を作る仮設で、これが出水で崩れると本体の工事が止まり、下流に土砂が流れます。砂防や河川の工事は、仮締切の計画と天気を読むことが半分といわれます。

砂防堰堤の床掘りで出た土はどうする?

仕様書では、指定の受入地へ運び、流出や崩壊が起きないよう排水と法面処理をすることが定められています。渓流の土砂は石混じりで、分別すれば使える場合があります。

土の行き先は、残土バンクで

砂防の床掘りで出る土砂も、押え盛土で要る土も、投稿すると近くの相手に自動で届きます。 国交省の登録簿をもとにした全国の受入地も地図で探せます。投稿・問い合わせ・成立に手数料はかかりません。

参考資料

2026年10月14日時点の公開資料をもとに、残土バンク編集部が構成・図とも独自に作成しました。本文の数値は国土交通省 土木工事共通仕様書(案)に書かれている範囲だけを引用しています。配合・寸法・強度などは設計図書と発注者の仕様書が優先です。