測地・GNSS・衛星のしくみの用語集(図解)|19語 | 残土バンク
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測地・GNSS・衛星のしくみの用語集(図解)19語

GNSSがどうやって位置を出しているのか、誤差はどこから来るのか、地面が動く日本で座標をどう保つのか。測量を一段深く理解するための言葉。

印刷・社内配布は自由です。出典に「残土バンク https://www.zandobank.com/words/c/sokuchi-shikumi」とお書きください。

GNSSのしくみ7語

  • 誤差は数m(スマホ・カーナビ)

    たんどくそくい

    単独測位

    1台の受信機だけで、衛星からの電波の届く時間(距離)を使って位置を求める方法。スマートフォンやカーナビの位置はこの方法です。

    勘違いしやすい:スマホの地図アプリの位置を、境界や杭の位置として使わない。

  • 基線ベクトル共通の誤差が打ち消し合う

    そうたいそくい

    相対測位(干渉測位)

    2台以上の受信機で同時に衛星の電波を受信し、受信機どうしの位置の差(基線ベクトル)を求める方法。両方に共通する誤差が打ち消されるので、精度が高くなります。

    勘違いしやすい:受信機どうしが遠く離れると、大気の状態が違って誤差が打ち消されにくくなる。基線の長さに応じた観測方法を選ぶ。

  • 波長 約20cm の波を数える整数の波の数 + 端数(位相)端数はmm単位で測れる

    はんそうはいそう

    搬送波位相

    GNSS衛星の電波そのもの(搬送波)の波の位置(位相)。波長は20cm前後と短いので、波の数と端数を数えれば、ミリ〜センチの細かさで距離が分かります。

    勘違いしやすい:波の端数は測れても、「全部で何波あるか」(整数値バイアス)は最初は分からない。これを決めるのが初期化。

  • N = ? 個FLOAT(未決定)FIX

    せいすうちばいあす

    整数値バイアス・初期化

    衛星から受信機までの間に、搬送波の波がちょうど何個入っているかという整数の値。これを正しく決めることを初期化と言い、決まった状態がFIX解です。

    勘違いしやすい:間違った整数値でFIXしてしまう「誤FIX」もある。別の初期化で2回測って一致を確かめるのはこのため。

  • 1秒1つの点 = 1エポックRTK:FIX後10エポック以上

    えぽっく

    エポック(データ取得間隔)

    GNSS受信機がデータを記録する1回1回の時刻のこと。その間隔をデータ取得間隔と言います。

    勘違いしやすい:取得間隔を長くしすぎると、移動しながらの観測やサイクルスリップの検出がうまくいかない。

  • 木・橋の下数が飛ぶ数えた波の数

    さいくるすりっぷ

    サイクルスリップ

    観測中に衛星の電波が一瞬途切れ、数えていた搬送波の波の数が飛んでしまうこと。

    勘違いしやすい:RTKでは、サイクルスリップのあとはFIXが外れることがある。表示がFIXに戻ったのを確かめてから記録する。

  • 放送暦精密暦衛星から放送後から精密に計算

    きどうじょうほう

    衛星の軌道情報(放送暦・精密暦)

    衛星がいつどこにあるかを示す情報。衛星から放送されるものを放送暦、観測後に詳しく計算したものを精密暦と言います。

    勘違いしやすい:衛星の位置の誤差は、そのまま測った位置の誤差になる。解析に使った暦の種類を記録しておく。

誤差の原因3語

  • 電離層L1L22周波の差で打ち消す

    でんりそうちえん

    電離層遅延

    地上100〜1000km付近の電離層(電気を帯びた層)を電波が通るときに、進み方が遅れること。周波数によって遅れ方が違います。

    勘違いしやすい:太陽の活動が活発な時期や昼間は、電離層の影響が大きくなる。

  • 対流圏(水蒸気)高さの誤差の原因になりやすい

    たいりゅうけんちえん

    対流圏遅延

    地表に近い対流圏(空気や水蒸気のある層)を電波が通るときの遅れ。特に水蒸気の量で変わります。

    勘違いしやすい:周波数を変えても打ち消せない遅れ。GNSSの高さが水平より精度が落ちる原因の一つ。

  • 形の中心位相中心衛星の向きで少し動く

    あんてないそうちゅうしん

    アンテナ位相中心(PCV)

    GNSSアンテナが実際に電波を受け取っている点(位相中心)。アンテナの形の中心とは一致せず、衛星の方向によっても少し変わります(位相中心変動:PCV)。

    勘違いしやすい:機種の違うアンテナを補正なしで混ぜると、高さに数cmの誤差が出ることがある。

動く大地と座標5語

  • 年に数cm大地はいつも動いている

    ちかくへんどう

    地殻変動

    プレートの動きや地震・火山活動で、地面そのものが少しずつ(または急に)動くこと。日本の基準点も、年に数cm動いている場所があります。

    勘違いしやすい:「基準点は動かない」と思い込まない。地震の後は、使う基準点の成果が最新かを確かめる。

  • 元期1997年1月1日今期観測した日その間の地殻変動を補正する

    げんき・こんき

    元期・今期

    元期は、測量成果(基準点の座標)が決められた基準の時点。今期は、実際に観測した時点のことです。

    勘違いしやすい:電子基準点の今日の座標と、成果表の座標(元期)は違う。準則では、電子基準点だけを既知点にする点検計算に今期座標を使う。

  • 今期の観測補正パラメータ元期の座標年度ごとに更新

    せみだいなみっくほせい

    セミ・ダイナミック補正

    地殻変動で生じた基準点どうしのひずみを、国土地理院が公表する地殻変動補正パラメータで補正して、観測の結果を元期の座標に合わせるしくみ。

    勘違いしやすい:補正パラメータは年度ごとに更新される。観測した時期に合ったパラメータを使う。

  • 旧 成果旧地震新 成果新成果表の日付を確かめる

    そくりょうせいかのかいてい

    測量成果の改定

    大きな地震などで地面が動き、基準点の座標や標高が実際と合わなくなったとき、国土地理院が成果(座標・標高の値)を新しい値に改めること。

    勘違いしやすい:同じ基準点名でも、改定の前と後で値が違う。成果表の日付(改定日)を必ず確かめる。

  • XYZ(自転軸)原点=地球の重心

    ちしんちょっこうざひょう

    地心直交座標

    地球の重心を原点とし、X・Y・Zの3本の軸で位置を表す三次元の座標。GNSSの計算はまずこの座標で行います。

    勘違いしやすい:地心直交座標のZは「高さ」ではなく、地球の自転軸の方向の座標。標高とは全く違う。

衛星で地球を測る4語

  • 昼夜・雲に関係なく観測

    ごうせいかいこうれーだー

    合成開口レーダー(SAR)・干渉SAR

    人工衛星から電波を出して、はね返りで地表を観測するレーダー。昼夜・天候に関係なく観測できます。同じ場所を2回観測して比べる干渉SARでは、地面の動きを面的にとらえられます。

    勘違いしやすい:干渉SARで分かるのは、衛星から見た方向(視線方向)の動き。上下・東西南北にそのまま分けられない。

  • 画像(分解能)触れずに調べる

    りもーとせんしんぐ

    リモートセンシング

    人工衛星や航空機から、物に直接ふれずに、光や電波で地表の様子を調べること。

    勘違いしやすい:画像の細かさ(分解能)より小さいものは写らない。目的に合った分解能・時期のデータを選ぶ。

  • クエーサー距離届く時間の差を測る

    ぶいえるびーあい

    VLBI(超長基線電波干渉法)

    何十億光年も離れた天体(クエーサー)からの電波を、遠く離れた複数の電波望遠鏡で同時に受信し、電波が届く時間の差から、望遠鏡どうしの距離を非常に正確に測る技術。

    勘違いしやすい:現場の測量で直接使う技術ではないが、GNSSの座標の土台を支えている。

  • 験潮場潮位の記録平均海面長い期間の平均をとる

    けんちょう

    験潮(験潮場)

    海面の高さ(潮位)を連続して測ること。測る施設を験潮場と言い、長い期間の平均から平均海面を求めます。

    勘違いしやすい:海面は潮の満ち引きや季節で変わる。1日・1か月の値ではなく、長い期間の平均を使う。

定義は公的機関の公開資料をもとに残土バンク編集部が書いています(各語に出典と確認日)。発注者の仕様書・基準が優先します。誤りに気づいた方は info@zandobank.com へ。