堤防の設計と浸透・安定の用語(図解)|工事苑 23語 | 残土バンク
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堤防の設計と浸透・安定の用語(図解)23語

堤防をどう設計し、何に対して安全かを確かめるか。土堤と特殊堤、計画堤防断面形状、5つの安全性能、浸透によるすべりとパイピング、ドレーン工やブランケット工法などの強化工法。

この分野の目次(23語を一覧で)

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堤防の形と考え方8語

  • 川表川裏盛土直しやすく、嵩上げ・拡幅しやすい

    どてい

    土堤

    盛土でつくった堤防。河川管理施設等構造令に基づき、堤防は土堤とするのが原則です。

    勘違いしやすい:土地利用などでやむを得ない場合だけ、特殊堤にできる。

  • 特殊堤用地が取れない市街地

    とくしゅてい

    特殊堤

    全部または主な部分がコンクリートや鋼矢板などでできていて、盛土がなくても自立する堤防。コンクリートの胸壁をもつ堤防も含みます。

    勘違いしやすい:計画堤防断面形状をもつ土堤と同等以上の安全性能を満たすことを照査する。

  • 川表川裏計画高水位余裕高天端幅のり勾配

    けいかくていぼうだんめんけいじょう

    計画堤防断面形状

    計画高水流量と計画高水位に従い、構造令の高さ・天端幅・のり勾配などを満たし、その川の過去の洪水の経験も踏まえて決める堤防の断面の形。

    勘違いしやすい:のり面は一枚のりが基本。小段は降雨の浸透をかえって助長することがある。

  • 小さい川中くらい大きい川流量が大きいほど大きな断面

    けいじょうきていほうしき

    形状規定方式(堤防)

    堤防の高さ・天端幅・のり勾配などの最低基準を、川の規模(流量)などに応じて決めて設計する方式。構造令はこの方式を基本としています。

    勘違いしやすい:断面形状だけでは安全性能を確かめきれないので、浸透や侵食などを別に照査する。

  • 小段一枚のり浸透に有利

    いちまいのり

    一枚のり

    途中に小段を設けず、一つの緩い勾配で仕上げたのり面。計画堤防断面形状ののり面は一枚のりが基本です。

    勘違いしやすい:堤防敷の幅は、小段がある断面にした場合より狭くならないようにする。

  • 計画の高さ余盛計画上の高さには含めない

    よもり

    余盛(堤防)

    堤防を築くとき、基礎地盤や堤体の沈下に相当する分の高さを、構造上の余裕に上乗せして施工すること。

    勘違いしやすい:余盛は施工上の配慮で、計画上の堤防の高さには含まない。

  • 本川支川(背水区間)本川の堤防と同じ高さ以上

    ばっくてい

    バック堤(背水区間の堤防)

    本川の水位の影響(背水)を受ける支川の区間の堤防。本川と同じ区域の氾濫を防ぐので、高さは本川の堤防の高さを下回ってはいけません。

    勘違いしやすい:合流点に逆流防止施設を設けて背水を遮断できる場合(セミバック堤)は、高さの決め方が変わる。

  • 川表川裏裏腹付け浸透とパイピングに強くなる

    はらづけ

    腹付け

    既設の堤防ののり面に盛土を足して、断面を広げること。旧堤を広げるときは、できる限り裏側(川裏)に腹付けします。

    勘違いしやすい:腹付けや嵩上げで重くなると、軟弱地盤ではすべりや沈下のおそれがあるので照査する。

安全性能の照査5語

  • 常時の健全性耐侵食性能耐浸透性能耐震性能波浪等満たさなければ強化工法を検討

    ていぼうのあんぜんせいのう

    堤防の安全性能

    土堤で照査する5つの性能。常時の健全性、耐侵食性能、耐浸透性能、耐震性能、波浪等に対する安全性です。

    勘違いしやすい:照査で満たさなければ、強化工法を検討する。

  • 軟弱地盤自重ですべり・沈下しないか

    じょうじのけんぜんせい

    常時の健全性

    洪水などがなくても、堤防の自重によるすべり破壊や過大な沈下が起きないこと。すべり安全率や沈下量の許容値を決めて照査します。

    勘違いしやすい:実績などから軟弱地盤でないと分かる場合は、すべりの照査を省略できる。

  • 川表川裏流速が侵食限界を超えないか

    たいしんしょくせいのう

    耐侵食性能

    洪水の流れでのり面や高水敷が削られないこと。のり面の侵食限界流速や高水敷の侵食量の許容値を決めて照査します。

    勘違いしやすい:最深河床高の縦断図を重ねて、いちばん掘れた河床の高さを把握しておく。

  • 川表川裏浸潤面雨

    たいしんとうせいのう

    耐浸透性能

    川の水や雨が堤防にしみ込んでも、すべり破壊やパイピング破壊が起きないこと。それぞれの安全率の許容値を決めて照査します。

    勘違いしやすい:計画高水位以下の洪水でも、継続時間が長いと浸透で壊れることがある。堤防は絶対に安全ではない。

  • 地震前液状化沈下後も水が越えない

    ていぼうのたいしんせいのう

    堤防の耐震性能

    地震で基礎地盤や堤体が液状化して堤防が沈下しても、平常時の流水などが堤内地へ越えないこと。地震後の堤防の高さの許容値で照査します。

    勘違いしやすい:特殊堤は、レベル1地震動で健全性を損なわず、レベル2地震動で機能を保つか速やかに回復できることを照査する。

浸透と破壊4語

  • 川表川裏浸潤面上がると土の強さが下がる

    しんじゅんめん

    浸潤面

    堤体の中にしみ込んだ水の上面。洪水や雨で浸潤面が上がると、土のせん断強度が下がります。

    勘違いしやすい:川表側に透水性の高い軟弱地盤対策をしたり、川裏側に透水性の低い固結工をしたりすると、浸潤面がかえって上がることがある。

  • 川表川裏すべり

    しんとうによるすべりはかい

    浸透によるすべり破壊

    川の水や雨が堤体にしみ込んで浸潤面が上がり、土のせん断強度が下がって、のり面がすべって壊れること。

    勘違いしやすい:計画高水位以下の水位でも起こりうる。

  • 川表川裏噴砂透水層

    ぱいぴんぐはかい

    パイピング破壊

    堤防の下の基礎地盤を水が流れ、裏のり尻付近で動水勾配が大きくなって土粒子が流され、水みちが広がって壊れること。

    勘違いしやすい:漏水や噴砂を見つけたら、拡大するおそれがあるので早く手を打つ。

  • Δh流れる距離 L動水勾配 i = Δh ÷ L

    どうすいこうばい

    動水勾配

    土の中を流れる水の水頭の差を、流れる距離で割った値。大きいほど浸透の力が強くなります。

    勘違いしやすい:浸透路長を延ばすと動水勾配は小さくなる。ブランケット工法はこの考え方。

強化工法6語

  • 川表川裏ドレーン

    どれーんこう

    ドレーン工(堤防)

    堤防の川裏のり尻を透水性の大きい材料に置き換え、堤体にしみ込んだ水を速やかに排水する工法。

    勘違いしやすい:のりすべりに対する強化工法で、基礎地盤のパイピング対策には別の工法を組み合わせる。

  • 川表川裏遮水シート川の水のしみ込みを抑える

    おもてのりしゃすいこうほう

    表のり遮水工法

    堤防の表のり面を水を通しにくい材料で覆い、高水位のとき川の水が表のりからしみ込むのを抑える工法。

    勘違いしやすい:のりすべりとパイピングの両方が問題になる箇所では、工法を適切に組み合わせる。

  • 川表川裏止水矢板基礎地盤への浸透を減らす

    かわおもてしゃすいこうほう

    川表遮水工法

    川表ののり尻に止水矢板などで遮水壁をつくり、基礎地盤へしみ込む水の量を減らす工法。

    勘違いしやすい:堤体と基礎地盤の土層構造や被災履歴を見て、浸透の仕組みに合った工法を選ぶ。

  • 川表川裏被覆浸透路長をのばす

    ぶらんけっとこうほう

    ブランケット工法

    高水敷を水を通しにくい材料で覆って浸透する道のりを長くし、裏のり尻近くの浸透圧を下げる工法。

    勘違いしやすい:高水敷の造成や河岸侵食の軽減で基礎地盤の透水層が出ないようにすると、同じ効果が得られることがある。

  • 川表川裏鉛直ドレーン裏のり尻の浸透圧を下げる

    ていないきばんはいすいこうほう

    堤内基盤排水工法

    基礎地盤からの浸透水を、裏のり尻に鉛直に設けたドレーンで排水して、裏のり尻近くの浸透圧を下げる工法。

    勘違いしやすい:パイピング対策には川表遮水・ブランケット・堤内基盤排水などがあり、土層構造に応じて選ぶ。

  • 川表川裏アスカーブガリやのり崩れを防ぐ

    あすかーぶ

    アスカーブ(天端舗装の雨水対策)

    堤防の天端を舗装したとき、雨水がのり面の一か所に集中して流れないように天端の端に設ける縁。

    勘違いしやすい:雨水が集中すると、ガリ(雨裂)やのり崩れの原因になる。

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