
自分の土地に土を入れて、かさ上げや造成をしたい。そのとき許可がいるかどうかは、「どこで」「どれだけ盛るか」で決まります。関係するのは主に3つ。盛土規制法、自治体の残土条例(土砂条例)、そして土地の種類ごとの法律(農地法など)です。この記事では、それぞれ何をしたら許可や届出がいるのかを、数字で確かめられる形にまとめます。
まず見る順番:3つを順に確かめる

- その土地は盛土規制法の規制区域か(都道府県・政令市などのページで地図が公表されています)。
- 盛る面積は、自治体の残土条例の対象か(県と市町村で別々に決めていることがあります)。
- 土地の種類:農地なら農地法、山林なら森林法、川の近くなら河川法の手続き。
3つのどれか1つでもかかれば、手続きが必要です。「少しだから大丈夫」とは限りません。
盛土規制法:規制区域の中なら、規模で許可か届出
盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)は2023年5月に施行され、都道府県などが規制区域を指定しています。区域は2種類あり、街に近い「宅地造成等工事規制区域」と、それ以外で危険のある「特定盛土等規制区域」です。区域の中で、次の規模を超える盛土や土の仮置きをするときに、許可や届出がいります(仙台市の公表資料の整理による)。
行為 | 宅地造成等工事規制区域 | 特定盛土等規制区域 | 特定盛土等規制区域 |
|---|---|---|---|
盛土で崖ができる | 高さ1m超 | 高さ1m超 | 高さ2m超 |
切土で崖ができる | 高さ2m超 | 高さ2m超 | 高さ5m超 |
盛土と切土で崖ができる | 高さ2m超 | 高さ2m超 | 高さ5m超 |
盛土(崖ができない) | 高さ2m超 | 高さ2m超 | 高さ5m超 |
上のどれでもない盛土・切土 | 厚さ30cm超かつ面積500㎡超 | 厚さ30cm超かつ面積500㎡超 | 厚さ30cm超かつ面積3,000㎡超 |
土の一時的な仮置き | 高さ2m超かつ300㎡超、または500㎡超 | 高さ2m超かつ300㎡超、または500㎡超 | 高さ5m超かつ1,500㎡超、または3,000㎡超 |
読み方の例:宅地造成等工事規制区域の中の土地に、厚さ50cmで600㎡の盛土をするなら許可。特定盛土等規制区域の中で同じことをするなら届出。規制区域の外なら、盛土規制法の手続きはいりません(ただし下の条例は別です)。
注意:自治体によっては、基準を国より厳しくしているところがあります。最後は、土地のある県・市の担当窓口の資料で確認してください。
残土条例:面積で決まることが多い
盛土規制法とは別に、多くの都府県と市町村が「土砂の埋立て・堆積」を規制する条例(いわゆる残土条例・土砂条例)を持っています。こちらは面積で決めているものが多く、例えば次のとおりです。
- 埼玉県:埼玉県土砂の堆積による土壌の汚染の防止に関する条例(2025年7月施行)で、3,000㎡以上の土砂の堆積に許可が必要。さいたま市・川越市・川口市・越谷市・桶川市・毛呂山町・嵐山町・鳩山町は、それぞれの市町の条例が適用されます。
- 千葉県:千葉県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例(残土条例)で、3,000㎡以上の埋立て等に許可が必要。県条例の適用が外れている市町村の区域では、市町村の条例で対応します。
県の対象より小さい面積でも、市町村の条例がかかることがよくあります。「県の条例は3,000㎡以上だから、500㎡なら何もいらない」とは言えません。市町村にも確認してください。
土地の種類による手続き
- 農地:農地に土を入れてかさ上げするのは、目的と期間によって農地法の一時転用許可や、農地改良の届出の対象になります。農業委員会に相談します。
- 山林:地域森林計画の対象の森林で、一定以上の面積の土地の形質を変えるなら林地開発許可(森林法)。
- 川・水路の近く:河川区域や河川保全区域なら河川法の許可。
許可を取らないとどうなるか
許可や届出なしに盛土をすると、土地の所有者が工事の停止や原状回復を命じられることがあり、盛土規制法には罰則もあります。「業者が持ってきた土だから」「無料でもらった土だから」は理由になりません。土を受け入れる側が、手続きの当事者です。
出す側にとっても重要です。2023年5月以降の契約の工事では、500㎥以上の土を出す元請は、搬出先が適正か(許可の有無など)を事前に確認する義務があります。許可を取っている受入地ほど、土が集まりやすいのはこのためです。
まとめ:受け入れる前のチェック
- 規制区域かどうか → 区域内なら、表の規模で許可か届出。
- 面積 → 県と市町村の残土条例。県の対象外でも市町村がかかることがある。
- 土地の種類 → 農地法・森林法・河川法。
- 手続きの当事者は、受け入れる側(土地の所有者)。
手続きを済ませたら、残土バンクに「土を探しています」と投稿すると、近くで土を出したい人に自動で届きます。投稿に「許可済み」と書いておくと、出す側が安心して連絡できます。もらう前の確認は残土をもらう前に確認する5つのこと、公共工事の土を受ける県の仕組みは公共工事の受入地 公募・登録まとめをご覧ください。
参考資料
- 仙台市:盛土規制法に基づく工事の許可、届出の対象となる行為
- 国土交通省:盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)
- 埼玉県:埼玉県土砂の堆積による土壌の汚染の防止に関する条例
- 千葉県:残土条例(千葉県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例)
- 国土交通省:建設工事から発生する土の搬出先の明確化等(資源有効利用促進法 省令改正の概要)
※本記事の内容は2026年10月14日時点の情報をもとにしています。法令・条例・料金は改正や地域によって異なるため、実際の手続きの際は必ず各行政機関・事業者の最新情報をご確認ください。
この記事について
残土マッチングサービス「残土バンク」を運営する株式会社暁の編集チーム。残土(建設発生土)の処分・受入・法規制について、公的機関の一次情報をもとに記事を作成しています。編集方針
